パキスタンでは女性の社会進出が遅れていると思われがちですが、先日草分けともいえる女性初の建築家ヤスミーン・ラリさんにお会いしました。
Don’t you think women’s empowerment in Pakistan has been still delayed from the world?
I met Yasmeen Lari who is the first woman architect from 1964, she is the real pioneer!
福岡アジア大賞 文化賞受賞おめでとうございます
パキスタン女性初の建築家ヤスミーン・ラリさん、福岡アジア大賞の芸術・文化賞に輝きました。
1942年生まれのラリさんはオックスフォードで建築を学び1964年には女性建築家として建築事務所を設立、以来金融貿易センターをはじめ次々と素晴らしいデザインで現代建築と都市開発に多大な足跡を残されてきました。
1980年には私財を投げうってパキスタン・ヘリテージ財団を創設し、歴史的建造物や文化遺跡の保護・保全・修復にも努めていらっしゃいます。
私は福岡と東京で2回の講演をお聞きし、東京ではティータイムにお招きいただきいろいろなお話をうかがいました。私が感銘を受けたのはスター建築家としてのラリさんではなく まさに女性や子供の教育・貧困に心を痛める人道支援に尽くすパキスタン女性としてのお姿でした。
バンブーと石灰と土で作るエコな家
2005年に発生したパキスタン大地震、カシミールを中心に7万人の方が亡くなりました。その時以来、被災者支援には特に力を入れていらっしゃいます。
そのラリさんが提唱する家づくり、必要な材料がバンブーと石灰と土の3つだけというシンプルさ。
それはCO2を排出するコンクリートの建築ではなく、現地で
調達できる材料にこだわり、地元の人々が自分たちで作りメンテナンスができる家で、もちろんCO2排出量は限りなくゼロに近いものです。
阪神大地震規模での実験でも異常なしという強度。2階建てまでは経験済みでコストが安いのも大事なところです。
1軒のシェルターが130ドルだそうです。そんなパキスタンの風土に合い、住民が協力して作る家は災害後、何の重機も使わず自分たちで即作れるシェルターとして皆に喜ばれてきました。すでに40000軒以上作られたそうです。
ラリさんは熊本の被災状況も視察され、損壊した日本家屋の壁に竹と漆喰が使われていたことにとても感心していらっしゃいました。
日本古来の土壁の中の竹、竹小舞と呼ばれる竹を編んだものに土を塗るという家づくりがまさに今のラリさんが考える家づくりと合致した瞬間でした。竹はパキスタンでも日本でもどこにでもあり、古来家づくりに重宝された材料です。地震などの強い力で家が壊れた後
二次災害の危険の大きいコンクリートの家は本当に災害に強い家と言えるのだろうかと素朴な疑問も湧きました。
<<災害から創造的復興へ>>
素足の被災者をよみがえらせたラリの草の根建築デザイン
1. Providing social and ecological justice through humanistic architecture and barefoot approaches 人道的草の根建築による社会的で環境保護的正義を提供2. Using vernacular tradition for replacing cycle of dependency with a culture of self reliance 依存の循環を自立の文化へ変えるために土着的伝統を使用 3. Creating low-cost/no cost enterprises for making up social deficits by people themselves for 人々事態による社会的欠損を補うための低コスト/ゼロコスト事業 4.shrinking the ecological footprint by designing non-engineered flood-and seismic-proof structures 洪水と地震に耐える構造設計による二酸化炭素の削減 |
ラリさんの全ての情報・知識をJASMINEでは共有させていただいております。
また災害にまつわる経験談は今後も継続して掲載します。
コメント