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肌寒くなってきて、街行く女性のショール姿も目立ってきた今日この頃。特に寒さが増すと
重宝なのがカシミアのショールですが、これがパキスタンと大いにかかわりのある話なのです。パキスタン北東部とインド国境付近に広がるカシミール。
帰属の話でたびたび話題になる場所ではありますが、ここが私たちが愛用するカシミアショールの生まれ故郷です。
本物のカシミールショールの歴史とは?
11世紀頃よりカシミール地方の家内工業として織られてきたカシミールショール。
4000mを超えるカラコルム山脈に住むカシミア山羊の毛で織られた毛織物は軽くてとても暖かなので、寒冷地での必需品でした。
幾度の侵略にも絶えることなく、その悠久の大地で脈々と受け継がれ進化を果たしたショールは、その暖かさゆえにムガール帝国の王侯貴族に愛され
インドやペルシャの王族のためにショールを降り続けてきました。幾多の肖像画にその姿を見ることができます。
ペイズリー文様
16世紀初期に完成されたカシミールの織物、ジャマワール(カシミールのショールの事)。
その繊細な文様は風土、歴史、文化、ライフスタイルを超え見るものを魅了してきました。
自然豊かなカシミールに生まれたジャマワールは草花の文様が多く、中でもチナールの葉が揺れるさまと言われる「ペイズリー」は現代においても人気の文様です。
ペイズリー模様の変遷で作品の作られた年代までわかります。織るのはもっぱら男性の仕事で1日暗い部屋で降り続けても1年以上かかることも。今では織れる人も少なくなりカシミール産ショールは織にとって代わり刺繍の物が多くみられます。いつぞや19世紀のジャマワールの展示会に西陣織の職人の方がいらっしゃいました。
その糸の細さと巧妙な文様に感心して見入っていらっしゃいました。西陣織の文様は今コンピューターで管理されているそうで、もしジャマワールを図案化して織り方をコンピューターに入れ込み、プリントしたら軽トラックいっぱいになるでしょう・・とおっしゃられていました。
ガンダーラの時代からシルクロードでつながった日本、西陣織ルーツにカシミールも関わっていたのかもしれません。ペイズリーの名前の由来は本来カシミール地方で生まれた図案ながら、インドがイギリス領だった時にイギリスにもたらされ、スコットランドのペイズリーでこの文様が織物が盛んに織られたことからペイズリー柄とよばれるようになったとか。そしてペイズリーで有名なブランド「エトロ」もカシミールのジャマワールを参考に、こちらはプリントで再現しております。現存する19世紀のジャマワールをずいぶんエトロ博物館に収蔵されているそうです。
ジョセフィーヌが広めフランスで大ブーム
このジャマワールをヨーロッパに持ち込んだのがエジプト遠征に来ていたナポレオンと言われています。 愛妻ジョセフィーヌへのお土産でしょうか。喜ぶ姿は想像に難くないです。
寒いお城の中、しかもそのころのパリでは白い木綿のモスリンのドレスが大流行中。
おしゃれも寒さには勝てません。ファッションリーダーのジョセフィーヌを真似る貴族夫人をはじめとして瞬く間にジャマワールが流行していきました。
<絵画に残るジャマワール>
ジャカード織
1901年ジャッガード織機が発明されると、カシミールの手織りジャマワールの需要がガクンと下がり、フランス産の機械織りジャマワールが出回るようになりました。
パンチカードを利用してペイズリー文様を短時間で織る上に、細かい文様も織れるとあり、商品はどんどん増え、カシミールに逆輸入されたほどです。
フランスのセンスもとりいれ素敵なものが出回り、カシミール本来の年単位で織り上げるジャマワールが急速に衰退したそうです。
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